まるっと5年ぶりに巡り合った新しい「好き」について

正直に言うと、私は多分宝塚に「推し」がほしいなと思っていた。正直「ご贔屓」ができれば、いや、パァッと輝くようにそこに現れてくれたらきっとめちゃくちゃ楽しいだろうなと思っていた。興味を持ったコンテンツに「この子だ!」と思える存在がいることで私は良くも悪くも、性格上わりと悪くもの割合が大きくなるけど、それはともかく(としてるからよくしんどくなる)良くも悪くものめりこみ度や感情の動きの濃度、突き抜け方も沈み込み方も全く違うから。私はもうそういう人間だと、バランス良く穏やかに楽しむことがわりと苦手な方だとわかってしまっているから、じゃあせっかくならいっちばん好きな子ができたらいいなと思っていた。そんな子はきっと、宇宙一最高に大好きな俳優界の推しがかつてそうであったように一目で「この子だ!」ってわかると思っていた。
まあ、そうではなかったのだけど。

小さないろいろな要素が重なり合って、転がり落ちるための準備はじゅうぶんだった。
だけどちょっと予想外だった。
今年はもうちょっといろんなエンタメを摂取したいなと思っていたこと、身近な友達の影響も少なからず大いにわりと結構あって興味がわいていたこと、ツイッターでおもしろいヅカオタアカウントを時折眺めていたこと、月からやって来たBADDY(劇場で観た、最高オブ最高)、あらゆることに「何じゃそりゃ」と思いつつ力技と言っていいのかわからないほどの大団円を迎えたカンパニー(BADDY観てるのでこれも劇場で観た)、カフェブレと言う恐ろしい番組(友達が送ってくれた)、何てすてきな人なんだ…これは恋…!と初めて惹かれた好きになった男役さんは既に退団済みだったと*1言うまさかのタイミング、そして「天は赤い河のほとり」の千秋楽ライブビューイング。
宙組は友達のご贔屓さんキキちゃんさんがいるから楽しみだったし娘役の天彩峰里ちゃんがかわゆくてかわゆくてかわゆくて、いっぱい映るといいな~~ってそんな感じで観に行きました。ラムセス様の冒頭のシーンめっちゃかっこよいのに次には何でか物干し竿と一緒に登場して動揺した。しかも最後には戦争そっちのけでカイルと殴り合ってて「いや後にせえよ」ってなったし、負けたら負けたで「いつか俺の子孫がおまえとユーリの子孫を嫁にもらうからな」とか言い出して発想がリア充すぎるし(リア充を誤解)実は嫁と一緒にミイラになったらしいし本当にラムセス様かっこよかった、三白眼がイカしてる、あんなに見事な三白眼とはなかなか出会えない。みねりちゃん演じるハディたそはスーパースペシャルかわいくて美人で最高に気が強そうで何なら普通に強そうでとにかく最高でした。みねりイズいつでも強そう最高。
ところで天河にはカイル皇子の心やさしい弟君がいらっしゃいまして、ピンクのマントを羽織って女の子みたいに(女の子ですね、今気づいたけど)かわいらしい皇子様が本当にキラキラしていて兄上を心から慕っている様子が表情からよくわかって、戦いの時には凛々しく、どこまでも気品溢れ柔らかな物腰が印象的で、めちゃくちゃいい子なんだな~~~って、この子はいい子だ~~って思ってたんです。でもザナンザ皇子がカイル皇子がユーリに「自分がいずれ皇帝になるとき」的な話をしている時のちょっと複雑そうな、憂いを含んだ、だけどそれを振り払うようにする表情がとても印象的で、だからって「…さてはこのいい子そうな弟、裏切るな…?」と思って本当にごめん、これは私の感受性の問題である。
そんなこんなでキラキラした心やさしいザナンザ皇子は命を落としてしまったけど何やかんやでヒッタイトも無事平和を取り戻しすっかり脳内がシトラスになってところで、とにかくめちゃくちゃ楽しかったな~~~宙組のこと劇場でも観劇したいな~~とハッピーハッピーで一日を終えた。のだけど。
じわじわきた。すごく、じわじわきた。
その後、いろんな印象に残った方たちを検索しては皆きれいねかっこいいね~って楽しくしていたのだけど、ザナンザたその中の人のお名前で検索してしまったら、何か、え、何か、、めっちゃかわい…あれ、でも役によってすごく色っぽ、いかと思ったらまたかわいい、かと思ったらすっごくかっこいい…!!??何!!??
ってのを数日間かけてやった。気づけば梅田WSSのチケットを探していた。予定が立った後で今回は女役だと知ってびっくりした。私は私にもう少しだけ落ち着いてほしい。
お友達のおかげで過去出演作やナウオンにカフェブレも見ることができた、そして気づけば酒気帯びの勢いでスカステを契約していた、すぐ映った、画質のあれこれを差し引いてもコスパが良すぎて意味がわからない、松吉めちゃくちゃかわいい、特に何も録るものもなく沈黙していたHDDが最近めっちゃ働いてる、組本とかライジングスターナントカとか横浜ウォーカーが届いた、アイス柄のシャツかわいい、まだまだ全然知らないことだらけ、お休みには旅行行ったりドライブしたり動物園が好きとか何だか未知の生物感がすごい、身振り手振りが激しい、「知れば知るほど」とは言えないくらいまだ知らないけど、でも多分。
そして昨日7/28、WSSを観に行った。

アニータは賢くてやさしくて憎まれ口を叩いてもかわいくないぞって言われても当然かわいくて、ベルナルドを心から愛して愛されていることが伝わる、最高にいい女だった。パーティーでのダイナミックで美しいベルナルドとのダンスはずっとずっと見ていたかった。お互いがお互いを誇らしいとでも言うようなベルナルドとアニータの視線の絡ませ方、触れ合う体、交わされる言葉と熱のようなもの、すべてがすばらしかった。アメリカでは時折口を真横に広げて顔中で笑っていて一瞬溢れる感情がとても魅力的だった。ほっそいのに腕の筋肉のつき方が娘役さんとはまた違っていてかっこいいなと思った。あとガーターベルトは双眼鏡で見ましたありがとうございました。
二幕、恋人を失いその恋人の妹は恋人を殺した男と愛し合っていた。マリーアが自分たちにとって仇であるはずの男を愛したこと、自分はもう二度と恋人に抱きしめられることはないのに目の前の妹同然の少女にはその腕があること、悲しい寂しい憎い、だけど「あなたならわかるでしょう」と言われて力なくベッドに腰かけまるで恋人に包み込まれていると思わせるような仕草で黒いストールを羽織り直す。嫌でもわかってしまう、だから許す、私だってベルナルドを愛していたわ、と、わかってしまったから、許してしまったから、やさしいから、もちろんマリーアのことだって本当に大切だったから、だから助けようとして、二人を助けようとして、酷い目に遭ってしまう。
過呼吸寸前のような叫びと投げ出された脚とぎゅっと掴んだストール、すべてを踏みにじられた彼女の言葉が最後のトリガーになったって誰も責められない、そのくらいあまりにも悲しくて辛かった。最後の場面にアニータがいなかったことの意味を考えるとますます辛くて、だけどアニータは何を選ぼうとも決して自ら悲劇のヒロインにはならないのだろうと思うと彼女の美しさが悲しくて歯を食いしばって泣いた。
だからこそ、カーテンコールがベルナルドとアニータのデュエダンだったことに本当に本当に救われた。かつての2人の姿でもアニータが見ている幸せな夢でも何でもいい、幸せそうに美しく最高にかっこよく、そしてお互いを愛しそうに見つめる2人を、手を取り合う2人を見られてお化粧は大体流れた。
とびっきりかわいい笑顔、丁寧な演技、きれいなダンス、きっとそんな人たくさんいるけど、だけど私はあなたがいい。何でだろうね、じわじわきすぎててやっぱりよくわからない、だけど楽しい、とても楽しい。

幸せなファンでいよう、何かが変わっても、いつか訪れるその時でも、この人を応援して幸せだと思える、そんな「好き」を目一杯抱えられるよう一つ一つを大切に観ていこう。

宙組の桜木みなとさん。ずんちゃん。
ご贔屓のお名前…ご贔屓!ドキドキする!実に5年ぶりに新しい「好き」に巡り合ったために何をどうしたらいいのかよくわからないけど楽しくて幸せです。目下の課題はスケジュール管理です(私の)。

*1:宇月颯さん大好きです…今後のご活躍も楽しみにしております…